One Shot Stories

新宿の路地裏のBar Up to You が贈る ~1杯のお酒が紡ぐ、ちょっといい話~

Theme Ⅱ〝しばしの別れ〟

台風被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

さて11月のテーマカクテルは、「ジプシー」です。

カクテル言葉は、「しばしの別れ」。

ウオッカベースのショートスタイルでいただくカクテルです。

ほんのりと甘く、それでいてピリッとしたところもある個性的なカクテルといえるでしょう。アルコール度数も高めですが、秋の夜長にぴったりな一杯かも知れません。今宵、あなたは、その想いをどこへ、どなたと旅をさせるのかな。

作品の投稿をお待ちしています。

f:id:sanpouji:20191110164447j:plain





 

Vol.4 「父さんのお酒の教室」     / れっとあんばー

f:id:sanpouji:20191008140002j:plain



私は名雪。晴れてお酒が飲める年齢になった大学生だ。
父の教えで、大学、高校とお酒を勧めてくる人は人殺しと同じなんだぞという教えから、今まで一度も・・・甘酒はあるかな?アルコールを飲んだことがない。
そんな私に父は翌日休日だからと、デートに誘ってきた。ファザコンとよく呼ばれているが、父が私に心配症なのだ。お酒で人が死ぬなんていう人だし。
「いいとこのバーにも行くからそれなりの格好しろよ」
そう言われたものの選んだのは、いつものキャラものや動物ものではなく私なりの

「どれすこーど」

と、いうやつになっている。
午後5時半。大学終わりに服に悩んで、着慣れない「どれすこーど」でソワソワしている。
ガチャっという音で父が帰ってきたのがわかった。
「お、名雪準備出来てるな」
「う、うん・・・これでいいのかな?」
「母さんを最初バーに連れていった時よりマシだ」
そう言われて家を出た。

駅までのバスで問われた。
名雪は何が飲みたい?」
「う~ん・・・あ!あれやってみたいっ!」
TVでもよく見るあれ。本当に美味しいのか知りたかった。好奇心だ。
「なんだあれって?」
「サラリーマンがビール飲んで『く~美味いっ!!!』ってやつ」
「・・・」
黙る父。おかしな事言っただろうか?
「・・・母さんの子だと実感したよ」
「何それ?」
そう言ってサークルでもよく行く駅に近い居酒屋に入った。

「感想は?」
「まずいにがいにがい」
「俺もビールは最初はそうだったよ。ただな?ある歳を迎えたらコーヒーが旨く感じるのと同じように上手くなる」
「でも父さんハイボールじゃん」
痛風予備軍だからな。30で禁止だ。交換するか?」
そう言ってハイボールを飲む。
「にがい」
そう言って私はビールもハイボールも父に押しつけ、ウーロン茶をストローで飲みながらメニューを見ていた。
「日本酒も焼酎もチェーン店なのに詳しく見ると沢山あるんだね」
「もっといいとこだと種類も桁も増えるからな」
「もっといいとこ行きたかったー」
「父さんの財政は家計の食費に直結してるからな」
「ぶー」
そう頬を膨らましたが、父はここに来て真面目な顔になった。
「・・・若いうちはこういう店で大勢で飲む方が機会が多いからな」
「?」
「で、次飲むの決まったか?」
「うーぶどうサワー」
「賢明だな」
種類の多いサワーは美味しかった。

そして父は新宿にまで場所を移してバーに向かった。
「『BAR Up to You』だ」
「わざわざ新宿まで来て?」
バーテンダーさんによって本当にカクテルやウイスキーのチョイスなんかが変わってくる。ここは駅近で前のバーと休日がズレるから気軽に変えるんだ。もちろんチョイスも通い詰めてマスターさんはよくわかってる。家飲み用のウイスキーは大体ここで味見する」
「なんで?」
「でもカクテル飲むんでしょ?」
「そうだな、レシピがお洒落というか家庭的だから気になる。あとパスタが美味い」
「は?」
そう言ってビルの7階まで行く。
「ねえ父さん」
「なんだ名雪?」
「4階すんごい人降りたね」
「気にするな」
そうして洒落た木のドアを開けると笑顔の女性のマスターが。
「父さんの浮気者
「違う、母さん公認の浮気場所だ」
「・・・たまに父さんと母さんの昔からの約束事って意味不明だよね」
洒落たシャンデリアにバーカウンターに2人席まである。15人ぐらい入るかも知れない。
そして目立ったのは、カウンターを挟んだマスターの後ろにある壁の棚にいくつものボトルが並んでいた。
そしてカウンターに座る人の前に蝋燭のライティングがマスターの女性らしい計らいだ。
「なに、ほげ~ってしてるんだ」
「いや、なんか凄いねバーって」
「お酒を楽しく飲むのもそうだが、俺はこういうところは落ち着けるところがいい・・・母さんは仕事の話しかしないからな」
「憩いの場なんだね」
「わかってくれて幸いだ」
そうして席に着く。
バーカウンターに座るのはなんだかお尻が落ち着かない。
「高い椅子は慣れないか?」
「普段座らないからね・・・さて・・・カクテルってなにがあるの?」
そう問う私にマスターがメニューを出す。
「バーでよくあるのが、カクテルの名前がわからないまま頼んでしまうが、ここはメニューがある。もちろんそれ以外も作れるが、あまりメニューが無い経験が多いな」
「へー・・・ジン・・・あ!テキーラ!」
テキーラは父さんも飲めないからやめてくれ」
「なんだか父さん飲めないの多い?」
「無理に飲めないもの飲むものでないって事だよ」
そう言ってたところで、父さんは珍しいものを見つけた子供のように即決していた。
「なんだかご機嫌だね?」
「プレミアがついてるやつがあったんだ。また飲めるとは・・・で、お前は?」
「う~ん・・・」
少し悩んだ所で名前で選んだ。
ジャック・ター
「やめろ」
「なんでよ?」
「父さんも過去に飲んで、1杯でタガが外れて一晩で財布を空にした」
「・・・」
「カクテルでも1位2位の度数だ」
「どういうこと?」
ウイスキーより高いって言えばわかるか?」
「・・・母さんが開けない父さんの酒棚より上」
「もう二度と頼まないと決めたカクテルだ」
そう言う父はゲンナリ顔だ。
「ちなみになに買ったの?」
「お気に入りのブランドの服を勧められるがままに買った。翌月のカード残高見て冷や汗流れたよ」
「じゃあ逆に父さんがまた飲みたいと言うカクテルないの?」
そう言われて父さんは考えた。
スプモーニ・・・軽いか?ギムレットは強いし、ヴェスパーなんかもっとダメだ」

『全部うちで頼んだ事ないじゃないですか~』

マスターが笑う。
そして父さんははっとなった。
「ジャックローズ!あれは確実にここで飲んだ!」
マスターもその反応に笑う。
「色が好きなんだ・・・」
「味じゃないの?」
「うるさい。でもカルヴァドスの味を知るにはいいかもな」
「なにそれ?」
「りんごのブランデーだ。このブランデーで世界を取った人のカクテルを飲んだ時なんと美味い酒だと感動した」
「なんとか風みたいな?」
「簡単に言うとそうだが、元はブランデーだからな、度数が高い」
そう言って出てきたのは、真っ赤なショートグラスに注がれたカクテルだった。
「トマトジュース?」
「まあ飲んでみろ」
一口飲む・・・フワッと広がるりんごの香り。これまで飲んできたお酒みたいにアルコールの角がない。
「おいしい!!!」
「らいむじゅー」
「もう一杯!!!」
「おい!青汁と違うんだぞ!まずは水!!!」

~出逢ってしまったベストカクテル~

『ジャックローズ』

私はふと目を覚ました。
「ふえ?」
「マスターのお得意とはいえジャックローズだけ4杯も飲むバカはお前だけだぞ」
「ほ~なの?」
「少なくても20度あるカクテルだ。女子会で盛り上がるワインが14%より上をテキーラのように飲むとは」
「美味しかったー」
「・・・でも、今日飲んだのがお前の限界だ」
「え?」
「居酒屋でサワー2杯、バーでジャックローズ4杯・・・それでお前の意識は飛んだ。お酒のマナーでいうところの『お酒に飲まれるな』ってやつだ」
「・・・」
「母さんは一口飲んでアウト。完全にアルコールアレルギーだ。娘のお前がどれだけ飲めるか心配したが、限界だけは覚えとけよ・・・何もしないで家に帰してくれる男なんていないからな」
「なんでそう言い切れるの?」
「お前は母さんの娘だからな」
最後に盛大な惚気を聞いた所で私は意識を失った。

 

<Bar Up to You>
新宿西口、路地裏の雑居ビルの7Fに隠れ家のように佇んでいる小さなBar。

東京都新宿区西新宿1-4-5 西新宿オークビル7F
tel : 03-5322-1112

営業時間:17:00~25:00  定休日:日曜日

夜な夜な訪れるゲストたちと美味い一杯とバーテンダーとの程よい時間が静かに流れていく。

このブログは、毎月1つの酒をテーマに、当店のゲストの皆様方が、一編のストーリーを作り、投稿されているブログです。

当店のHPはこちら! http://www.up-2you.jp/index.html

Vol.3 「非情階段」 /北海ミチヲ。

f:id:sanpouji:20191002125249j:plain


「ねえ、いったいどうしたら、僕の気持ちをわかってくれるんだよ」

 

 僕は、またもや、この台詞を言いだしそうになって、グッと飲み込んだ。先週の金曜の夜もそうだった。楽しく、他愛のない話題と、食事をしながら過ごしていたと思ったら、また、5年前のあの出来事が蒸し返されてしまった。
どっちからというわけでもなく、また始まってしまった。
今夜は、グラスについた彼女の秋色のルージュのことから、楽しいディナータイムは一変した。褒めたつもりだったのにと思いながら、気づけば藪蛇だった。まさか地雷がこんなところにあったとは…。

 

 彼女とは、いつもこうなのだ。時に病的なものすら感じる。怖いくらいだ。

 

「だから、言ったよね?何もなかったし、あの人は、もう東京にいないって」

 

「真実」と「事実」は、違う。いくら、こっちが「真実」を話したところで、彼女は、「事実」で立証しようとする。だから食い違うのだ。どうやったら彼女の中にある「事実」を覆して、僕を無罪放免にできるのか。どこまでいっても、これは冤罪なのだ。

 

 彼女は、事細かにその「事実」を立証しようとする。検事と証人を一人二役で、正確で寸分狂わない台詞をもって。その記憶力もまた異様なものだ。

 

「じゃあ、今更、どうしろっていうのさ。」

 

 あー、言ってしまった。また彼女の核ボタンを押してしまった。心の中では、こんなこと思っていないのに、なぜ、脳と口と心を一括操作できないんだろうか。昼間、営業課長に言われた『お前、不器用だね、ホント』って、ニヤリとメガネの奥で言われたのを思い出した。

 

「ちょっと、待てよ。駅こっちだろ。」

 

 彼女のヒールがカツカツと音を立てながら、歩道を叩いている。まるでパーカッションの楽器のように。さすがにスクランブルの交差点の真ん中でもめているのには、彼女も少し冷静になったのだろうか、二人の住む街へ向かう駅と反対方向に歩きだしている。彼女の長い髪が、そのヒールの刻むリズムと共に揺れていた。その後ろ姿で、彼女が怒っていることは、誰でも気づくほどだ。そして、その後を、女性もののコートを抱えながらついていく男を見れば、多くの人は、『こいつ、なんかやっちゃった?』って思う、当然の場面だ。世論はこうやって作られていくんだよな。そうして、冤罪もまた世論で作られていく。

 

「落ち着けよ。なあ、」

 

 僕は、彼女の肩にやっと追いついた。この重い書類の入ったバッグさえなければ、なんてことないのに、今夜は特に重い。働き方改革のしわ寄せは、結局、プライベートの週末までもシェアしていく。家での仕事さえなければ、もう少しスマートに振舞えるのに、右手に彼女のコート、左手にバッグ、おまけにこの靴は、今朝、下ろしたばかりだ。意外と足にあっていないことに気づき、小さな靴擦れがおきている。正直、右足の踝のあたりが痛い。とにかく最悪の金曜日だ。

 

 二人が立ち止まったのは、知らない小さなビルの前だった。奥まったところに外階段が見えた。

 

「とにかく、わかったから、なんでもするから。」

 

 これも言ってはならない終盤のセリフだ。とにかく場を収めるために使う最終兵器といってもいい。いつもなら、この僕の誠意のない言葉に最後の火が付くのだが、今夜は少し違った。彼女が顎で外階段を示した。

 

例のやつだ。今夜もそろそろ幕引きの時間が近づいている。

 

階段じゃんけん。

 

僕たちは、これでいつも決着をつける。

 

 子供のころやった、チョコレートとか、パイナップルとかいうあれ。先に登りつめた方が勝ち。僕は、心に小さな安堵を覚えながら、週末の決闘の最終シーンを意識した。もはや結果はどうでもいい。僕は無言で彼女に抱えていたコートを手渡した。

 二人は、鉄製の外階段を見上げ、大きく息を吸った。

 

「最初は、グー。じゃんけんポン」

「グ・リ・コ」彼女が3段だけあがった。

「最初は、グー。じゃんけんポン」

「グ・リ・コ」彼女がまた3段だけあがった。ふたりの距離が少し開いた。

彼女のヒールの音が、金属音に変わっていた。

 

 10回ほど繰り返し、僕は10回連続で負けた。彼女はすでに2階から3階へ向かう踊り場に差し掛かっていた。11回目の彼女のパーで初めて僕が勝った。

 

「おー!勝った!勝った!」僕は子供のようにはしゃいだ。
「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」

 

 その後も何度か、決闘は一進一退を繰り返しながら、ついに5階の踊り場で二人は並んだ。正直、重いバックと合わない靴のおかげで、ここで追いついたことなど、もうどうでもよかった。早く、この無謀な戦いを彼女が諦めないものかと心底願うばかりだった。しかし決着はつけないといけない。そして、冤罪を今夜こそ晴らさなければならない。

 ふと階段の外に目をやると、この界隈のビルを俯瞰できた。高層ビルが遠くに見えているが、手前は古い雑居ビルばかり。なかなか上から眺めることがないので、新鮮にさえ思えた。晩秋の夜空は晴れていて、東京の少ない星がいつもより落ちてきそうなほど多く感じた。

 パイナップルを3回繰り返し、僕が彼女を追い越し、7階の底が見え始めた。

 

「最初は、グー。じゃんけんポン」
心なしか、彼女の声が小さく聞こえた。またパイナップル。6段上った。

 

「最初は、グー。」
今度は僕の声だけが狭い鉄の床と天井に挟まれた空間に響いた。ふと階下の彼女を見た。
その時、彼女がうつむきながら、空にグーを突き出していた。

次のじゃんけんも、次のじゃんけんも。

 彼女は、わざと握りこぶしを突き上げているのだ。まるで僕に小さな怒りをぶつけているみたいにも見えたが、彼女自身の内側に向かっていくような、何か表現に苦しい何かがあったようにも見えた。

 そして、その時の僕は、彼女のすすり泣いている声が、この街のクラクションや道端の酔っぱらいたちの大声にかき消されていたことにも気づくことはなかった。

 

 その後、彼女が、5階から上に登ってくることはなかった。

 

 

 
 このビルの7階に、小さなバーがあることを知ったのは、あれから数年後のことだった。部下のひとりが紹介したい店があると、偶然に訪ねたのが最初だ。

 今夜は、チームの2次会で皆がめいめいに仕上げの一杯を楽しみながら、景気やら会社のことやら勝手に話している。いつものパターンだ。内心、辟易もしている。

 

「課長、いつも思うんですけど、この店嫌いですか?」

部下の一人がいぶかしげに僕の顔を覗き込んできた。

 

「どうして?」
ここに気持ちがない心の内を見透かされたような気がした。

 

「いつもここ来ると上の空みたいだし…」
もう一人の女子社員が重ねてきた。

 

僕は、心の底に蓋をするように、気を取り直して彼らに向き合った。

「君たちさ、今はね、会社だって、何だって突然なくなったりするんだよ。だいたい生き方が不器用なんだよ。もっと仕事も、恋も冒険しなきゃ、冒険!」

僕の話が、場の流れに全く関係なかったようだったのか、小さな笑いが、テーブルの周りに花咲いた。

 

 カウンターの客に出されたショートグラスのカクテルが、あの夜、僕の前を登っていった彼女のヒールの色と重なっていた。

 

 

 

<Bar Up to You>
新宿西口、路地裏の雑居ビルの7Fに隠れ家のように佇んでいる小さなBar。

東京都新宿区西新宿1-4-5 西新宿オークビル7F
tel : 03-5322-1112

営業時間:17:00~25:00  定休日:日曜日

夜な夜な訪れるゲストたちと美味い一杯とバーテンダーとの程よい時間が静かに流れていく。

このブログは、毎月1つの酒をテーマに、当店のゲストの皆様方が、一編のストーリーを作り、投稿されているブログです。

当店のHPはこちら! http://www.up-2you.jp/index.html

Vol.2 「赤いドレスとチョコレート」 /浦霞林檎

f:id:sanpouji:20190928162859j:plain

靴音を吸い込む厚い絨毯の通路。低く流れる管弦楽のBGM。
連なる小さなシャンデリアより、ショーウィンドウの煌めきが、フロアの照明を担っている。
早苗は、その店の奥の壁面にかけられた服に目を止めた。あれかもしれない。やっと見つけた。胸が高鳴ってくる。
大理石の床のブティックに入ると、コツンとヒールの音が響いた。

「いらっしゃいませ」
若い店員が笑顔で迎える。あどけなさが残る薄化粧の店員。この高級ホテルのアーケードのブティックに似合うには、あと数年かかるだろう。早苗は親しげな笑みを浮かべて、こんにちは、と答えた。
と、奥のカウンターで書き物をしていた店員が、顔をあげ、眼鏡を外し、立ち上がって深々とお辞儀をする。
「いらっしゃいませ。ちょうど新作が入荷したところです。どうぞごゆっくり」
そして、婉然と微笑みながら早苗に近づく。若い店員は、心得たように道を空ける。

早苗は青のクロコダイルのケリーバックと、ひとつ上のフロアの、エステサロンのショッピングバックを持っている。
その老舗サロンでは、エステを受けた客にオリジナルの基礎化粧品を勧めて販売しているのだ。
足元はグッチのハイヒール。
店長の節子はそれらをさりげなく見て取り、更に、客が着ている薄手のコートも、確かイタリアのスーパーブランドの新作ではなかったかと慌ただしく思い出す。こういう上客をヒヨッ子のスタッフに任せるわけにはいかない。里香には、ついさっき、売上個人予算の達成率をもうちょっと伸ばさないと、本社のスキルアップ研修に送り込むことになると、説教したばかりではあるけれど。

里香は内心ホッとしている。こんなお金持ちそうなお客さんを担当して、トンチンカンなことを言ったら、また店長にお説教をくらっちゃう。この仕事に就いて数カ月経つけど、本音を言えば、高級服の販売なんて、お客さんに何をどう言ったらいいのか、いまだにわからない。わかるわけないよ。東京に来る前は、毎日高校のジャージ着て、山と田んぼしか見てなくて。今だって、ファストファッションの服しか買えないんだもん。

でも、里香はこの職場が好きだった。美しい服を扱うのも、試着するたびに生き生きと変身するお客様も、店長の優雅な接客も。この、にこやかなお客様は、どの服に興味を持つのだろう。

「あの、奥の赤いドレスを見せてください」
「ああ、お目が高いですね」節子は驚嘆の笑顔を見せる。「ただ今ご用意します」
里香は小走りにドレスを取りに行き、節子は眼鏡チェーンを外してカウンターに置きに行きながら、客の後ろ姿に目を走らせる。

「マドレーヌ・パジェの服も、お試しいただいたことはございますか?」
高級ブランドの服は着慣れているでしょうけれど、というニュアンスを込めて節子が言う。
「いいえ、初めてです。もちろん知っていましたけど」
「ありがとうございます。あちらのドレスもいいですが、他にもお似合いになりそうなものもいくつかございますので、後ほど…」

里香が赤いドレスを運んできて客に見せる。教わったとおり、客の右寄りに立ち、右手でハンガーのフックを持ち、左手は、ドレスを少し抱きあげるように後ろから軽く添える。初めて接客した時、片手でハンガーの肩を掴んで客に突き出し、節子に叱られたのは忘れていない。

「パリのオートクチュールから始まったブランドですので、エレガンスや華やかさを何より大切にしております。このドレスは、初代のデザイナーのマドレーヌが東南アジアを旅した時に、アオザイにインスピレーションを受けて、デザインしたもののリメイクです。一点ものでございます。サイズが34でございまして、」節子はそこで言葉につまった。

「ああ、アオザイベトナムの服ですよね」早苗の目はドレスに釘付けになっている。
「はい。アオザイの特徴のスタンドカラーを、シルクタフタのフリルに変えていますので、アオザイそのものと思う人は少ないでしょうけれど。体に付かず離れずの、細い縦のシルエットと裾のスリットにアオザイらしさがあります。かつてのオートクチュールでは、イブニングドレスとして作られましたから、もっと華やかなディテールが施されていました」
「素敵ですねえ。生地は?」
「はい。イタリアのコモ地域のシルクの生地メーカーのもので、えー、老舗の…なんて言いましたかしら」
里香も天井を見上げて思い出そうとしている。入社研修で習ったばかりだ。
「いいのよ」早苗が笑う。
「失礼いたしました。ただ、」節子が少し眉を寄せる。
「こちらのドレスは一点ものでございまして、34サイズとやや小さく、」
「34、イタリアサイズだと36くらいかしらね。ちょうどいいわ。合わせてみていいかしら」
「あ、…はい。ご試着…」
「いいえ、当てて見たいの」
「…はい、ではあちらのお鏡へ」

早苗は、鏡の前で、ハンガーから外したドレスを肩から当てて見る。いい。絶対いい。
生地はキリッとした張りのある質感でアールヌーボー調の地模様、赤に深い気品がある。膝上の深さのスリットは、重なりのあるベンツ仕上げ。座って足を組んだりするまでは貞淑に閉じるはず。シンプルな袖は繊細に透けるシフォン。腕だけが生身の色気を放つだろう。絶対いい。

「いいわ」早苗の横で一緒に鏡を見ていた節子は、その言葉に軽く頷き、しかしサラリと視線を外す。
「こういったテイストがお好みに合うようでしたら、あと数点、ファーストラインのドレスをご覧いただけますか?里香さん、青いスパンコールのと、黒のタフタと…。いいわ、私がお持ちしますので少々お待ちください」

一歩下がってうっとり見ていた里香は、客と二人残されて、あ、会話をしなくては、とわれに帰る。
「お客様、お綺麗ですねえ。お肌が白いから、この赤いドレスすごくお似合いになります」
「ありがとう。私もいいと思うのよ」謙遜もせず嬉しそうに言う客が、里香には眩しくみえる。
「本当に素敵です。どんなところへ着て行かれるんですか?」
「そうねえ、まだ決めてないけど」
「そうなんですか?パーティーか何かあるのかと思いました」
「ふふふ、パーティーがあればいいんだけどね」

ストックルームでドレスを探す節子に、二人の笑い声が聞こえてくる。
もう!ヒヨッ子は呑気に何を話してるの。他の服を勧めないと…。焦りながら4点のドレスを選び、可動ラックに掛けて客のところへ戻る。

「お待たせしました。こちらもファーストラインのドレスです。黒いドレスは、お客様はもう何枚かお持ちかと思いますが、このドレスはサックドレス風のシルエットが大変すっきりと、」
「こっちの方がいいわ」早苗は赤いドレスに目を戻し、里香が大きく頷く。
「左様ですか。あと、こちらは」
「ううん、私、この赤いのが気に入ったの」

節子は一瞬黙り、懇願するような笑顔を作った。
「お客様、でしたら一度ご試着をしていただけますか?フィット感など拝見させていただけると」
早苗はにっこり笑って首を振り、財布からカードを取り出した。
「大丈夫だと思います」

節子はまだ何か言おうと口を開いたが、里香が「ありがとうございます!絶対お似合いです」と元気よく言ってカードを受け取った。節子は困った。この前も高額品が売れて翌日に返品になり、本社から、どんな販売をしているのかと注意を受けたばかりだ。確かに、一旦客の持ち帰った商品は、何かしらダメージを受ける。畳み皺。家庭の匂い。そして何故か、そのオーラを失う。出戻り品は不思議と最後まで売れ残る。あの時の客は、「娘に、似合わないって言われてね」と、あっけらかんと返品しに来たわけだけど、自分の社内評価は下がったままだ。
頭がいっぱいの節子の耳に、里香の無邪気な声が飛び込む。

「お支払い回数はいかがいたしましょうか」

ブラックカードのお客様に分割回数なんて聞かなくていいって、この前も言ったでしょ。声に出せず里香に向かって一瞬眉を上げる。
早苗は「1回払いね」と答えてから、二人に「こういうドレスを探していたんです。良かったわ」と言い、ほっとした顔をした。
節子の頬が微かに紅潮した。



「売れて良かったですねえ。あのドレス、あんなに高かったんですね」
客を送り出してからも、里香はすっかり舞い上がっている。
「わたし、金額が頭に入ってなくて、値札見てからびっくりしちゃいました。試着もしないで簡単に買うなんて、すごいわあ。それに、綺麗なお客様でしたよね。どんなお仕事しているのかしら」

ハイテンションの里香に、節子は今は何も言う気がしない。なんだか、どっと疲れた。今日は月末。月の予算には到底届かないけど、おかげで何とか格好がついた。でも、明日にもあのドレスは戻って来る。マイナスの挽回に何日かかるだろう。
節子が若い頃は、この店であれくらいの価格のドレスが売れるのは珍しくなかった。女優や大御所の歌手や大企業の社長夫人を顧客にして、自分はシンプルなドレス1着分ほどの月給をもらい、そこそこ優雅な生活をしていた。
遠い昔なんだわ。私も顧客も歳をとった。顧客は、もう、ドレスより、楽な部屋着が必要だという。
久しぶりの大物。私も焼きが回ってきた。返品されるような販売をするなんて。
里香のハイ状態はまだ続いている。

「どんなところで、あのドレス着るのかしら。パーティーは無いって言ってたけど。ランチとかに普通に着て行っちゃうんでしょうかねえ」
節子は小さな声で遮った。
「もっと勉強しましょうね。あれは着られないわよ」



「あ、そうだ。ママ、これあげる。って言っても頂きものなんだけど」
開店したばかりのUp to Youには、カウンターに早苗と男性客しかいない。

「チョコレート!高級そうじゃないですか。マドレーヌ・パジェ?洋服のブランドですね?」
「そこで洋服買ったらオマケにくれたの。フランスのチョコレート屋さんとコラボしたチョコだって」
「すごいオマケですね。ありがとうございます。お裾分けしてもいいですか?」
ミドリはチョコレートを小さな皿に乗せ、2つ奥の席の男性客にすすめた。
「それで、どんな服なんです?お買いになったのは」
「ちょうど、このお酒みたいなドレス」

早苗の前には、ひと口飲んだジャックローズが置かれている。今日一杯目のカクテルだ。
「ジャックローズ?それは綺麗でしょうね」
「綺麗よお。こんな、キリッとしたいい赤で、華やかでスッキリして」
「今度着ていらしてくださいよ。見てみたいです」
早苗は照れたように笑った。
「まだ全然着られないわ。多分、太ももあたりでつっかえちゃう」
「え?」
「一点ものなんだって。すっごく素敵なドレスなの」
「着られない服買ったんですか?えー?持っててどうするんですか?」
「もちろん、いつか着るのよ」
「えーっと、お痩せになるご予定でも?」
「そのとおり。ねえ、ミドリさん。お医者さんって想像力ってもんがないのかしら。いくら中性脂肪とかBMIとか下げろって言われたって、私は今のままの私が気に入ってるのよ。努力するわけないじゃない」
「あはは。でも、健康第一!ですからね」
「はいはい。でもね、細くて綺麗で、すっごく気に入ったドレスが一枚あれば、これを着たいって思うでしょ。そしたら痩せてみようって気になるじゃない。こういうステキなヤル気、えーっと、何て言うんだっけ」
「モチベーション」男性客が答える。
「そう!モチベーション!それが必要だったの」早苗は男性に、小さくグラスを掲げる。
「はあ。早苗さんらしいって言うか。店員さんに、ユニークですねとか言われなかったですか?」
「別に…あれ?私、痩せてから着るって言わなかったかも」
「うーん。売っていいもんかどうか困ったでしょうねえ」
「うーん。あなた太ってるから着られませんよって、ハッキリ言われたら説明したけど、ドレスに夢中で気が回らなかったわ」
「店員さんも、そうハッキリとは、どうでしょう」
「そういえば、店長さんっぽい人、他のドレス勧めてくれたわ」
「今頃、返品されるかもって心配してそうですね」
「そうよね、悪いことしたわ」
「そうですよ。それでチョコレートくれたのかも。返品しないで下さいねって意味で」
「あー!そっかそっか」早苗は大笑いした。
「ちなみに、いいお値段だったんですか?」
「分割払いにした方がいいくらい高かった。今は食卓の前に飾ってある」
ミドリが笑いながらチョコレートを頬張る。
「じゃ、ダイエット始めるんですね。おかげ様で私はチョコレートが食べられました」
「痩せるわよー。私、絶対似合うと思うの。楽しみだわあ。今夜は前祝いよ」

3人連れの客が入ってきた。ミドリは早苗に笑顔を残して新客の注文を受ける。
等間隔に並べる3つのグラス。メジャーカップやシェーカーを手品師のように操り、美しいカクテルを誕生させる。
早苗は、ミドリの無駄のない、流れるような動作をうっとりと見ながら、またジャックローズに口をつける。ショートグラスの中の赤い三角形が小さくなり、グラスの細い足に蕾がついたように見える。まるで、これから咲いてゆくような赤い蕾。

早苗はそれをしばらく見つめてから飲み干した。
同じものを、と頼んでから、「ねえねえ、ミドリさん」と、甘えるように笑いかける。
「チョコレート、美味しかった?」
ミドリは答えず、小さく指を振った。

 

 

 

<Bar Up to You>
新宿西口、路地裏の雑居ビルの7Fに隠れ家のように佇んでいる小さなBar。

東京都新宿区西新宿1-4-5 西新宿オークビル7F
tel : 03-5322-1112

営業時間:17:00~25:00  定休日:日曜日

夜な夜な訪れるゲストたちと美味い一杯とバーテンダーとの程よい時間が静かに流れていく。

このブログは、毎月1つの酒をテーマに、当店のゲストの皆様方が、一編のストーリーを作り、投稿されているブログです。

当店のHPはこちら! http://www.up-2you.jp/index.html

Vol.1 「蓮と猫」 /清水 楓

     f:id:sanpouji:20190928162049j:plain

最近流行りのタピオカミルクティーを売る店の前には長い行列が出来ていた。
若い女の子達が写真を撮りながら順番を待っている。
その店の裏手の細い道に入ると、まだ明るいのに薄暗い路地が延びている。
湿った空気が流れた別世界。
ウイスキーの空き瓶やゴミ箱やらよくもまぁこんなに乱雑に置けたものだ。建物の上からはカラスが獲物を狙っている。

路地を抜けると道が開け、今度は大きなビルが建ち並ぶ。
映画館、飲食店、クラブ、風俗店、ホテル…
この街は飽きない。
10分も歩けばちょっとしたテーマパーク並に目がチカチカするし国際交流だって出来る。ゴジラだっている位だ。

蓮は当てもなくこの街を歩くのが好きだ。
様々な人間がうごめいているのを観察する。

横断歩道で大きなバックを持った若い女の子とすれ違うと、いい香りのフレグランスが漂った。
これだけの人混みの中で、どのくらいの確率で今この人とすれ違ったのだろう?
もう一度会う事はあるのだろうか?
会った所で気付くわけもないか。
よっぽど特徴的な何かが無い限りは。

そんな事を考えながら1人で歩く。
雑踏の中でも、自分の回りには誰も入れないドームがあって守られているんだ。
そう思うと多少の事では動じない。
キャッチやよくわからないスカウトらしき人からも声は掛けられるが、ほとんど耳に入らない。
でもイヤホンはしていない。
この街の音が聞こえないから。

あの日もいつもの様に1人で歩いていた。
通りかかった一軒の店から、高そうなスーツを着た、どこぞの社長さんかお偉いさんの様な風貌の男性が出てきた。
優しそうな顔立ちだった。
が、その男性は、前を歩いていた恐らく飼い主を持たない猫を足で道の端へ押しやった。

「邪魔だ」

猫はニャアと鳴き、その男性を鋭い目付きで見た。
男性が見えなくなるまでじっと座って睨んでいた。

「強いな、お前」

蓮はぽつりと独り言を言った。
猫は聞こえたのか、今度は蓮をじっと見た。

「睨むなよ、俺はお前を誉めたんだ」

猫は、ふん!とでも言いそうな顔をしてきびすを返し、長い尻尾とおしりを振りながらスマートな動きで店の裏へ消えていった。

変わった柄の猫だ。体は真っ黒なのに耳から目の下まで、オペラマスクを付けたように顔の半分だけが白い。

「お前の事は忘れないだろうな」

そう呟いて、行きつけというにはまだ馴染みの浅いbarへ足を向ける事にした。

初めて来たのは3ヶ月程前、たまたま通りかかった雑居ビルの前の立て看板が目に止まった。
やけに店の名前が気に入って、入ってみる事にした。

「Up to you」-あなた次第-

なんていい響きだ。
いい意味にも、悪い使い方も出来る便利な言葉だ。正解のない言葉。

静かにドアを開ける。
ママは一見の若い俺にも嫌な顔をする事なく相手をしてくれた。
居心地は良かったが、この時は長居はせずに店を出た。

今夜で何度目だろう。
店に入ると、いらっしゃいませとミドリさんは爽やかな笑顔で迎えてくれる。
「こんばんわ」
L字のカウンターの奥に座る。
すぐ横の窓からチラリと外が見える。

「今夜は何を飲みたい気分ですか?」
「そうですね…後ろ姿が綺麗でカッコいい女性のイメージのお酒かな」
「随分難しいオーダーですね」
「さっき、出会ったというか、知り合ったんです。あ、人間じゃないんだけど。でも人間みたいでかっこ良かったから。珍しい模様の猫なんだけど、俺の事睨むんだ。強い目で」
「ふふ。その子、知ってます」
「え?何でわかるんです?」
ミドリさんは笑顔のまま答えなかった。

カクテルを作る彼女は、流れるような一切無駄の無い動きでテキパキとシェーカーを振った。

蓮はあの猫の事をずっと考えていた。
1人で生きていくと決めた強さと、それでも本当は誰かに甘えたいと思っている様な儚さが、あの後ろ姿に垣間見えたのだ。

「お待たせしました」

ミドリさんがスッとカウンターに置いたのは、真っ赤なカクテルだった。
深紅ではない、鮮やかな赤。
これは女性が飲む物だと思って、少し恥ずかしくなった。

「何て言うカクテルですか?」
「ジャックローズです。あの子にピッタリかなと思って」
「猫にピッタリなカクテル?」
「そう。恐れを知らぬ元気な冒険者って言うカクテル言葉があるんです」
「へぇー!カクテル言葉なんてあるんですね。あの子、確かに冒険者ですね。名前はあるんですか?」
「クロ。勝手にそう呼んでます。3年前からこの辺にいるかな?単純に色が黒いからだけど、ジャックローズってカタカナで書くと真ん中にクロって、入ってるでしょ?それでちょうどいいなって。地域猫だから気の向くままに好きな所へ行くからいつ現れるかわからないんですけどね」

蓮は今すぐにでもクロに会いたくなった。
いや、でも今はこのカクテルを楽しもう。
強い目の光が美しい赤と重なってゾクッとした。
きっと、クロにはいずれ会えるだろう。

蓮はもう一杯ジャックローズを頼み、高い場所にあるこの店の窓から賑やかな街の夜景を見ながらふと思った。

クロが人間だったらどんな女性かな。

ミドリさんに笑われた。
変なこと考えてたのがバレたみたいだ。
この街に来る楽しみがまた一つ増えた。

 

<Bar Up to You>
新宿西口、路地裏の雑居ビルの7Fに隠れ家のように佇んでいる小さなBar。

東京都新宿区西新宿1-4-5 西新宿オークビル7F
tel : 03-5322-1112

営業時間:17:00~25:00  定休日:日曜日

夜な夜な訪れるゲストたちと美味い一杯とバーテンダーとの程よい時間が静かに流れていく。

このブログは、毎月1つの酒をテーマに、当店のゲストの皆様方が、一編のストーリーを作り、投稿されているブログです。

当店のHPはこちら! http://www.up-2you.jp/index.html

ThemeⅠ〝恐れを知らぬ元気な冒険者〟

10月のテーマカクテルは、「ジャックローズ」。

1900年代初頭のニューヨークで生まれたカクテル。映画「カサブランカ」や「麗しのサブリナ」で有名な俳優ハンフリー・ボガードも愛したカクテルとしても有名。

カクテル言葉は「恐れを知らぬ元気な冒険者」。さあ、今宵はどんな冒険ストーリーがこのカウンターに舞い込んでくるのやら。

f:id:sanpouji:20190928155731j:plain